🇯🇵日本
Japan
「日本ワイン」は国産ブドウのみを原料に日本国内で製造した果実酒を指し、輸入原料も含む「国内製造ワイン」と区別される(果実酒等の製法品質表示基準、2015年告示・2018年施行)。日本ワインのみ地名・品種名・収穫年を表示でき、産地表示は原料の85%以上、品種・収穫年も85%以上が基準。さらに上位の地理的表示(G.I.)として山梨(2013)、北海道(2018)、山形・長野・大阪(2021)が国税庁長官により指定されている。甲州・マスカット・ベーリーA・山幸はO.I.V.の品種リストに掲載されEUで品種名表示が可能。
南北に細長い島国で、北海道名寄(北緯44.1度)から沖縄(26.3度)まで約18度の緯度差をもち、ほぼ全都道府県でワインが造られる。高温多湿で梅雨や台風があるため、伝統的に樹勢の強いブドウを育てる棚仕立てが発達し、近年は欧・中東系品種の垣根仕立ても急増している。代表的品種は白の甲州、赤のマスカット・ベーリーAで、いずれも日本を象徴する。日本ワインの生産量トップは山梨県で、北海道・長野県と合わせ全生産量の7割超を占める。
試験頻出ポイント
- 日本ワインの生産量は14,324kL(750mL換算で約1,910万本)。トップ3は1位山梨県、2位北海道、3位長野県で、上位3道県で全生産量の7割超を占める。
- 「日本ワイン」は国産ブドウのみを原料に日本国内で製造した果実酒。輸入原料も含む「国内製造ワイン」と区別され、日本ワインだけが地名・品種名・収穫年を表示できる。
- ワイン用ブドウ生産量の上位5道県は山梨6,003t・北海道5,017t・長野3,897t・山形1,980t・宮崎327t。日本ワインに占める割合は白50.6%・赤37.2%・スパークリング5.3%。
- 甲州・マスカット・ベーリーA・山幸はO.I.V.のリストに掲載され、EU輸出時にボトルへ品種名を表示できる(甲州2010年・MBA2013年・山幸2020年)。
- G.I.(地理的表示)は山梨(2013年)、北海道(2018年)、山形・長野・大阪(2021年)が国税庁長官により指定されている。
- 高温多湿で梅雨や台風があるため、樹勢の強い甲州などを育てる棚仕立てが江戸時代から発達。近年は欧・中東系品種の垣根仕立てが急増し、2021年には自営・契約畑の34.7%を占めた。
気候風土と多様性
南北に細長い島国で、北限の北海道名寄が北緯44.1度、南限の沖縄県恩納村が26.3度と緯度差は約18度に及ぶ。フランスのシャンパーニュからコルシカ島までが約6度であるのと比べると産地が南北に大きく離れている。全体に内陸性気候が多いが、栽培品種も欧・中東系・アメリカ系・東アジア系(日本野生ブドウ)とその交雑・交配種まで極めて多様である。
歴史
本格的なワイン造りは幕末から明治初めの甲府の山田宥教と詫間憲久に始まる。1877年にはパリ万博のため山梨の高野正誠と土屋助次郎(龍憲)がフランス研修に派遣された。明治期はフィロキセラやベト病で欧・中東系品種が打撃を受け、ワインは甘味ブドウ酒の原料に組み込まれた。新潟の川上善兵衛はマスカット・ベーリーAなどを交配し、1985年のジエチレングリコール混入事件を機に現在の表示制度の原型が整った。
主要品種
白の甲州と赤のマスカット・ベーリーAが日本を象徴する2大品種。甲州はワイン用ブドウで最多の生産量(3,738t、全体の19.6%)で、DNA解析によりヴィニフェラ種比率71.5%の品種間交配種とされる。欧・中東系では赤はメルロ、白はシャルドネが最多。冷涼地のドイツ系(ケルナー・ミュラー・トゥルガウ)や北海道の山幸など耐寒性品種も特徴的である。
ワイン法・G.I.・表示ルール
ワインは酒税法上「果実酒」に分類される。「果実酒等の製法品質表示基準」(平成27年国税庁告示第18号、2015年制定・2018年施行)が日本ワインを定義し、地名表示は原料の85%以上、品種・収穫年も85%以上が基準となる。さらに上位のG.I.(地理的表示)は産地の特性と管理が認められた場合に指定され、容器に「地理的表示」「G.I.」等の表示が義務付けられる。
仕立て法
大きく棚仕立てと垣根仕立てに分かれる。棚仕立ては長梢のX字型剪定(日本の伝統的手法)と短梢の一文字型短梢剪定・H字型短梢剪定があり、後者は作業効率が高く近年増加。九州ではH字型に雨よけをかけるケースが多い。樹勢の強い甲州は垣根に向かないとされてきたが、近年は山梨・大阪で取り組む生産者もいる。
主要ブドウ品種
- 甲州
- マスカット・ベーリーA
- メルロ
- シャルドネ
- ナイアガラ
- デラウェア
産地(地方)(7)
- 山梨2013年に国税庁が「山梨」を地理的表示(G.I.)として国内ワイン初指定(2017年に生産基準見直し)。甲州を名乗る際の糖度基準は14度(比重換算)で、糖度が上がりにくい甲州の特性を反映し補糖が一般的。和食との相性をPRするKOJ(Koshu of Japan)のロンドンプロモーションで国際的評価を高めた。
- 長野2021年に「長野」が地理的表示(G.I.)として指定。県独自の「長野県原産地呼称管理制度」(2002年創設)は2021年のG.I.長野とともに「G.I.長野プレミアム」へ移行した。県は「信州ワインバレー構想」(2013)を掲げ、千曲川・桔梗ヶ原・日本アルプス・天竜川・八ヶ岳西麓の5つのワインバレーで産地形成を進める。
- 北海道2018年に「北海道」が地理的表示(G.I.)として指定。日本では異例の欧・中東系品種専業の栽培農家がおり、原料がすべて自社畑のドメーヌ型ワイナリーや、委託(受託)醸造専門ワイナリーが本州に比べ多いのが特徴。
- 山形2021年に「山形」が地理的表示(G.I.)として指定。フィロキセラ禍を機に保存性の高いデラウェアへ転換した歴史をもち、現在も台木生産の約7割を山形県が占める。県外ワイナリーからの引き合いが強く、ブドウの県外流出比率が全国一高いのも特徴。
- 新潟日本ワインの生産量は約53kLと多くないが、川上善兵衛の交配品種を通じて日本のワイン産業の発展に多大な貢献を果たしてきた歴史的産地。新潟ワインコーストの集積や胎内市のドメーヌ型ワイナリーなど、欧・中東系品種志向の産地化が進む。
- 大阪2021年に「大阪」が地理的表示(G.I.)として指定。明治期に新宿御苑の甲州苗木が沢田村経由で堅下村に伝わり甲州栽培が広がったが、台風被害と宅地化で甲州畑は激減。消費地に近い立地を生かした産地復興が特徴。
- 宮崎九州全体の日本ワイン生産量は約581kLで、ワイナリー数は約30軒。宮崎県は熊本県と並ぶ5軒で、温暖多雨の気候に適した品種選択と雨よけ栽培が産地の特徴となっている。
