🇦🇺オーストラリア
Australia
原産地呼称は地理的呼称G.I.(Geographical Indication)。EUとの貿易協定とTRIPS協定を背景に1993年導入され、州(State)・地域(Zone)・地区(Region)・小地区(Sub-region)の4階層で構成される。地理的呼称委員会G.I.C.が認定し、2025年時点で約114のG.I.がある。表示規定では、特定G.I.のブドウが85%以上で当該G.I.を表示でき、品種・ヴィンテージも85%以上で表示可能。欧州型のような栽培・醸造規制を伴う原産地呼称制度ではなく、地名保護を主目的とする。
オーストラリアはシラーズを代表品種とする新世界の主要生産国。主要産地は大陸南東部と西オーストラリア州南西部、タスマニアに集中する。バロッサ・ヴァレーの力強いシラーズ、クナワラのテラ・ロッサ土壌が生むカベルネ・ソーヴィニヨン、ハンター・ヴァレーのセミヨン、冷涼なタスマニアやヤラ・ヴァレーのピノ・ノワール・シャルドネ・スパークリングまで多彩。世界7大陸で最も古い大陸ゆえ多様な地質をもち、温暖な地中海性気候から南氷洋の影響を受ける冷涼地まで幅広い。
試験頻出ポイント
- 原産地呼称は地理的呼称G.I.(Geographical Indication)。州(State)・地域(Zone)・地区(Region)・小地区(Sub-region)の4階層で構成され、地理的呼称委員会G.I.C.が認定する。
- G.I.制度はECとのワイン貿易協定とTRIPS協定第23条遵守のため、Wine Australia Corporation Act 1980を改正して1993年に導入された。
- 表示規定では、特定G.I.産のブドウが85%以上で当該G.I.を、特定品種・特定ヴィンテージも85%以上でそれぞれ表示できる。
- 代表品種はシラーズ。全品種ヨーロッパ由来で、赤白それぞれトップ10品種が収穫量の95%を占める。
- ライン・バーガンディ等の欧州ジェネリック産地名は、2008年のEUとの合意により2010年から使用禁止となった。
- 酒精強化ワインの名称は変更され、Sherryはアペラ(Apera)、PortはFortified、Liqueur TokayはTopaqueとなった。
歴史
1788年に初代NSW総督アーサー・フィリップ大佐がワイン用ブドウ樹をシドニーに持ち込み、1825年にジェームズ・バスビーがハンター・ヴァレーに本格的なブドウ園を開いた。バスビーは欧州から多数のブドウ樹を入手し、モーニントンなどで使われるMV6もその系譜にある。1877年にヴィクトリア州ジロング近郊でフィロキセラが発見され、被害を免れた南オーストラリア州へ栽培の中心が移った。1990年代末以降、シラーズが質量ともに代表品種となり輸出が拡大した。
気候風土
ブドウ栽培地域は国の南半分、南緯31度から43度に帯状に分布する。おおむね温暖で冬に降雨のある地中海性気候だが、南部沿岸やタスマニアは南極由来の冷たい海の影響で冷涼となる。クナワラのテラ・ロッサ、マクラーレン・ヴェールの砂質ローム、タスマニアのジュラシック・ドレライトなど多様な地質をもつ。
ワイン法・G.I.
G.I.制度は州・地域・地区・小地区の4階層で構成され、地理的呼称委員会G.I.C.が歴史・地質・気象条件などを基準に認定する。欧州型のような栽培・醸造規制を伴わず地名保護を主目的とする。表示は特定G.I.産・特定品種・特定ヴィンテージがそれぞれ85%以上で可能。FSANZ食品基準ではアルコール4.5度未満はワインと認められず、補糖も認められない。
酒精強化ワイン
1930年代から1960年代には酒精強化ワインがワイン全体の約7割を占めた。主産地はバロッサ・ヴァレーとラザグレン。2010年以降、欧州地名に由来する旧称が変更され、シェリーはアペラ、ポートはフォーティファイド、リキュール・トーケイはトパーズ(Topaque)となった。リキュール・マスカットは名称が据え置かれた。
主要ブドウ品種
- シラーズ
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- シャルドネ
- セミヨン
- リースリング
- ピノ・ノワール
- グルナッシュ
産地(地方)(12)
- バロッサ・ヴァレーG.I.バロッサ・ヴァレー(Region、標高112〜596m)。イーデン・ヴァレーと合わせた上位区分としてG.I.バロッサ(Zone)があり、単に「Barossa」表示のワインは両産地のブドウを含む可能性が高い。樹齢で区分するBarossa Old Vine Charter(Old Vine 35年以上、Survivor 70年以上、Centenarian 100年以上、Ancestor 125年以上)がある。
- エデン・ヴァレーG.I.イーデン・ヴァレー(Region、標高219〜632m)。バロッサ・ヴァレーと合わせてG.I.バロッサ(Zone)を構成する。非公式小地区にHigh Eden、Keyneton、Pewsey Valeなど。
- クレア・ヴァレーG.I.クレア・ヴァレー(Region)。Watervale、Polish Hill River、Sevenhillなど非公式小地区がある。クレア・ヴァレー最古のワイナリーは1851年創業のSevenhill Cellars。
- マクラーレン・ヴェイルG.I.マクラーレン・ヴェール(Region、標高0〜417m)。栽培面積は約7,400ha(2022年)。
- アデレード・ヒルズG.I.アデレード・ヒルズ(Region、標高190〜609m)。小地区にLenswood、Piccadilly Valleyがある。栽培面積は約3,700ha(2022年)。
- クナワラG.I.クナワラ(Region)。ライムストーン・コースト(Zone)に含まれ、テラ・ロッサ土壌で知られる。G.I.は2002年に策定され、規則上の範囲は歴史的中心域より広い。栽培面積は約5,800ha(2022年)。
- ヤラ・ヴァレーG.I.ヤラ・ヴァレー(Region)。栽培面積は約2,900ha(2022年)で赤ワイン用品種が約3分の2。Valley FloorとUpper Yarra Valleyのエリア差がある。
- モーニントン・ペニンシュラG.I.モーニントン・ペニンシュラ(Region、標高40〜250m)。栽培面積は約920ha。平均単価が全国平均を大きく上回るプレミアム産地。
- ハンター・ヴァレーG.I.ハンター(Region、Zoneとしても設定)。小地区にPokolbin、Broke Fordwich、Upper Hunter Valley。Tyrrell社のVAT 1 Semillonに代表される長期熟成セミヨンで知られる。
- マーガレット・リヴァーG.I.マーガレット・リヴァー(Region)。グレート・サザンより11年遅く調査されたが急速に発展した。Yallingup、Wilyabrup、Karridaleなど6小地区案がある。栽培面積は約5,700ha(2020年)でプレミアム産地。
- タスマニアG.I.タスマニア(Stateとして区分)。島内の小地区(Tamar Valley、Pipers River、Coal River Valleyなど)はまだG.I.取得に至らず、ラベルには単にTasmaniaと記される。ブドウ単価は全国随一のプレミアム。
- ラザグレンG.I.ラザグレン(Region)。Liqueur MuscatとTopaqueはMuscat of Rutherglen Networkが Rutherglen・Classic(6〜10年)・Grand(11〜19年)・Rare(20年以上)の4等級に分類する。酒精強化ワインの旧称(Tokay)はTopaqueへ、Port・SherryはFortified・Aperaへ名称変更された。
