オーストリア
Österreich
EUのg.U.(原産地呼称保護)/g.g.A.(地理的表示保護)/地理的表示なしの枠組みに対応する。オーストリアではWein(地理的表示なし)、Landwein(地理的表示保護)、Qualitätswein・Kabinett・D.A.C.・Prädikatswein(原産地呼称保護)に区分される。糖度はKMW(クロスターノイブルク糖度)で計り、Qualitätsweinは最低15度KMW。Prädikatsweinはシュペートレーゼ、アウスレーゼ、ベーレンアウスレーゼ、アイスヴァイン、シュトローヴァイン/シルフヴァイン、トロッケンベーレンアウスレーゼの6カテゴリーで、糖度順に格上げされる。D.A.C.内ではGebietswein・Ortswein・Riedenweinの3段階ピラミッドが整備される。
オーストリアは大陸性気候の冷涼産地で、栽培面積の約7割を白ブドウが占める。基幹品種は固有のグリューナー・ヴェルトリーナーで、白胡椒的な香りと鮮やかな酸を特徴とする。黒ではツヴァイゲルトとブラウフレンキッシュが中心。生育の中心はニーダーエステライヒ州とブルゲンラント州で全栽培面積の約87%を占め、ほかにウィーン州、シュタイヤーマルク州が続く。原産地呼称制度D.A.C.(Districtus Austriae Controllatus)を2003年のヴァインフィアテルから順次導入し、2023年のテルメンレギオン認定で全地域を包摂した。新酒ホイリゲやブッシェンシャンク文化、ヴァッハウ独自の格付け、ノイジードル湖の貴腐甘口など多彩なスタイルをもつ。
重要ポイント
- 栽培面積は約44,210haで、白ブドウが約70%を占める冷涼な大陸性産地
- 基幹品種はグリューナー・ヴェルトリーナー(白の約32%)。黒はツヴァイゲルトとブラウフレンキッシュが中心
- ニーダーエステライヒ州とブルゲンラント州だけで全栽培面積の約87%を占める
- 原産地呼称制度D.A.C.(Districtus Austriae Controllatus)を2003年のヴァインフィアテルから順次導入
- 2023年のテルメンレギオンD.A.C.認定で全地域がD.A.C.に包摂された
- 糖度はKMW(クロスターノイブルク糖度)で計り、純粋な糖の重量パーセントを示す
歴史
栽培の最古の痕跡は紀元前700年頃のケルト人によるもので、ブルゲンラントのツァーゲルスドルフから種が発見された。中世にはシトー派修道士がブルゴーニュのワイン文化を伝え、ヴァッハウの段々畑も修道士によって開墾された。1985年のジエチレングリコール混入事件で輸出市場は壊滅したが、これを機に同年厳格なワイン法が発効し、現代の高品質路線を生む原動力となった。
気候風土
大陸性気候で降水量が少なく、ドイツより温暖なため厚みのある辛口が主体となる。生育期間はおよそ200日に及び、暑い夏と夜の冷え込む長い秋が特徴。北・東・南・西からの風、日光を反射するドナウ川、霧を発生させて貴腐を生むノイジードル湖など、風と水の影響が大きい。緯度は北緯47〜48度でブルゴーニュとほぼ同じである。
土壌
土壌は極めて多様で、レス、片麻岩・花崗岩などの原生岩、石灰岩、シスト、砂・砂利・粘土に大別される。特筆すべきはレスで、砂であると同時に石灰の粉でもあり、華やいだ香りとシャープな酸・ミネラルを与える。基幹品種グリューナー・ヴェルトリーナーが多く植えられるため、その重要性は大きい。
ワイン法・格付け
1995年のEU加盟以降、国内ワイン法はEUの枠内で運営される。区分はWein(地理的表示なし)、Landwein(地理的表示保護)、Qualitätswein・Kabinett・D.A.C.・Prädikatswein(原産地呼称保護)。糖度はKMWで計り、Qualitätsweinは最低15度KMW、Kabinettは最低17度KMW。D.A.C.内ではGebietswein・Ortswein・Riedenweinの3段階ピラミッドが整備される。
プレディカーツヴァイン
Prädikatsweinは糖度順に、シュペートレーゼ(最低19度KMW)、アウスレーゼ(21度)、ベーレンアウスレーゼ(25度)、アイスヴァイン(25度・収穫時に凍結した果実)、シュトローヴァイン/シルフヴァイン(25度・藁や葦の上で3カ月以上乾燥)、トロッケンベーレンアウスレーゼ(30度)の6カテゴリーに分かれる。トロッケンベーレンアウスレーゼのうち自由都市ルストで造られるものはアウスブルッフと呼ぶことができる。
品種
白ブドウ26品種、黒ブドウ14品種の計40品種が認可される。白はグリューナー・ヴェルトリーナーが圧倒的で、ヴェルシュリースリング、リースリング、シャルドネ(モリヨン)が続く。黒はツヴァイゲルト(ザンクト・ラウレントとブラウフレンキッシュの交配)が最も広く、ブラウフレンキッシュ、ザンクト・ラウレントが固有品種として重要である。
主要ブドウ品種
- グリューナー・ヴェルトリーナー
- ツヴァイゲルト
- ブラウフレンキッシュ
- リースリング
- ヴェルシュリースリング
- サンクト・ラウレント
産地(地方)(4)
- ニーダーエステライヒ州州(包括的生産地域)の中に8つのD.A.C.(限定的生産地域)を擁する。ヴァッハウ、クレムスタール、カンプタール、トライゼンタール、ヴァーグラム、ヴァインフィアテル、カルヌントゥム、テルメンレギオン。いずれもGebietswein(地域名)・Ortswein(村名)・Riedenwein(単一畑名)の3段階ピラミッドを備える。
- ブルゲンラント州州(包括的生産地域)の中に6つのD.A.C.(限定的生産地域)を擁する。ノイジードラーゼー、ライタベルク、ルスター・アウスブルッフ、ロザリア、ミッテルブルゲンラント、アイゼンベルク。ルスター・アウスブルッフはライタベルクD.A.C.の中にある貴腐甘口専用のD.A.C.で、ルスト産の辛口は規定を満たせばライタベルクD.A.C.を名乗れる。
- ウィーン州ヴィーナー・ゲミシュター・サッツD.A.C.(2013年ヴィンテージから白)。混植・混醸というスタイルに与えられる例外的なD.A.C.で、3つ以上の認定品種を混植・混醸し、一品種は最大50%、3番目の品種が10%以上を占める。アルコールはGebietswein12.5%以下、Ortswein・Riedenweinは12.5%以上。Ortsweinは認定された7村から。Gebietsweinは強いオークの香りがしてはならない。
- シュタイヤーマルク州3つのD.A.C.いずれも2018年ヴィンテージから。共通の認可品種はヴェルシュリースリング、ヴァイスブルグンダー、モリヨン(シャルドネ)、グラウブルグンダー、リースリング、ゲルバー・ムスカテラー、ソーヴィニヨン・ブラン、トラミーナーとそのブレンド。Gebietswein・Ortswein・Riedenweinの3段階で残糖は最高4g/L(リースリングとトラミーナーはトロッケン)が基本。ヴェストシュタイヤーマルクはブラウアー・ヴィルトバッハー(シルヒャー)を加え、白・ロゼが対象となる。