🇩🇪ドイツ
Deutschland
品質階層は下からドイチャー・ヴァイン(地理的表示なし)、ラントヴァイン(g.g.A.)、クヴァリテーツヴァイン(QbA、g.U.、A.P.Nr.表示)、プレディカーツヴァイン(g.U.、補糖不可)。プレディカーツヴァインの肩書は収穫時果汁糖度の低い順にカビネット<シュペートレーゼ<アウスレーゼ<ベーレンアウスレーゼ(BA)<アイスヴァイン<トロッケンベーレンアウスレーゼ(TBA)。アイスヴァインは樹上で氷点下7℃以下に凍結した果実を凍ったまま圧搾。糖度はエクスレ度(°Oe)で測る。辛口表示はトロッケン・ハルプトロッケン等。2021年新法は地理的呼称をAnbaugebiet>Region>Gemeinde/Ortsteil>Einzellageと階層化し、最上位畑にエアステス・ゲヴェクス/グローセス・ゲヴェクスを認める。民間ではVDP格付け(下からVDP.Gutswein・Ortswein・Erste Lage・Große Lage)が有力。
ドイツはほぼ全域がEUの最も冷涼なゾーンAに属し、最南部のバーデンのみゾーンBに入る冷涼産地である。高品質ワインを生む13の特定ワイン生産地域(Anbaugebiet)は北緯47〜52度にあり、旧西ドイツ側11地域はライン川と支流沿い、旧東ドイツ側2地域はエルベ川沿いに広がる。主要品種はリースリングとシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)で、ミュラー・トゥルガウやヴァイス/グラウブルグンダー、ジルヴァーナー、ドルンフェルダーも重要。川沿いの斜面とスレート(粘板岩)・石灰質・レス土が個性を生む。品質はプレディカーツヴァイン(6肩書)を頂点とする糖度基準が伝統だが、2021年新法で地理的呼称基準へ移行中で、VDPの4段階格付けやグローセス・ゲヴェクス(GG)も頻出。
試験頻出ポイント
- ほぼ全域がEUワイン生産地帯のゾーンA(最冷涼)、最南部のバーデンのみゾーンB。13の特定ワイン生産地域(Anbaugebiet)は北緯47〜52度に位置する
- 旧西ドイツ側11地域はライン川とその支流沿い、旧東ドイツ側2地域はエルベ川とその支流沿いに広がる
- 主要品種はリースリングとシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)。白ブドウが栽培面積の約7割を占め、赤は2024年時点で30.9%
- プレディカーツヴァインの肩書は収穫時果汁糖度の低い順に、カビネット<シュペートレーゼ<アウスレーゼ<ベーレンアウスレーゼ(BA)<アイスヴァイン<トロッケンベーレンアウスレーゼ(TBA)
- 果汁糖度はエクスレ度(°Oe)で測る。フェルディナント・エクスレが1830年代に提唱した比重計による測定法
- VDPの畑格付けは下から VDP.Gutswein・VDP.Ortswein・VDP.Erste Lage・VDP.Große Lage の4段階。格付け畑の辛口はグローセス・ゲヴェクス(GG)
- 1971年法は果汁糖度を品質基準としたが、2021年新法で地理的呼称制度へ移行。ラベル表示の完全移行は2026年産から
歴史
紀元前16年頃にローマ軍がトレヴェラー族の地に進駐し、現在のトリーアにあたるアウグスタ・トレヴェロールムを築いた。モーゼル中流の圧搾所遺跡やアウソニウスの詩『モゼラ』がローマ時代のワイン文化を伝える。西ローマ帝国滅亡後は教会と修道院がブドウ畑を担い、カール大帝も栽培・醸造の普及に貢献したとされる。18世紀にはラインガウのヨハニスベルクで1720年にリースリングが大量に植えられ、シュタインベルクでは貴腐ブドウの収穫が始まった。
気候風土
旧西ドイツ側11地域は大西洋の湿潤な空気と大陸性の乾いた空気の双方の影響を受け、比較的温暖で夏は涼しく乾燥しやすい。旧東ドイツ側2地域は大陸性の影響が強く、夏は暑く乾燥し冬は厳しい。地中海型産地と異なり生育期の夏から秋に雨が多く、冷涼さは酸を保つ利点となる。伝統的に川沿いの斜面で栽培が発達したのは、斜面が日照効率と排水性に優れ、鉄道普及以前は大河川が物流の幹線だったためである。
土壌
ドイツワイン産地の個性は、古生代の大陸衝突で形成されたライン粘板岩山地と、新生代のライン地溝帯および三畳紀地層の露出に大きく関係する。粘板岩(スレート)は酸とミネラル感、透明感、緊張感のあるリースリングやシュペートブルグンダーを生む。フランケンなどに見られるブントザントシュタイン(赤色砂岩)、ムッシェルカルク(貝殻石灰岩)、コイパー、各地のレス土もそれぞれワインの香味と構造を特徴づける。
ワイン法・格付け
ドイツ最初のワイン法は1892年成立。1971年法は収穫時果汁糖度を肩書きの基準とし、複数の単一畑をまとめるグロースラーゲを導入して約25000あった畑名を約2650まで削減した。2009年のEU地理的呼称制度導入を経て、2021年の新法で格付けの基準は果汁糖度から地理的呼称範囲(Anbaugebiet>Region>Gemeinde/Ortsteil>Einzellage)へ移行し、最上位畑にエルステス・ゲヴェクス/グローセス・ゲヴェクスを認める。エルステス・ゲヴェクスの潜在アルコールは11.0%以上だが、モーゼル・ザーレウンストルート・ザクセンは10.5%以上。
格付け団体
VDP(ドイツ高品質ワイン醸造所連盟、VDP.Die Prädikatsweingüter)は約200の醸造所が加盟し、1910年のドイツ自然ワイン競売人連盟を起源とする。2012年に VDP.Große Lage・Erste Lage・Ortswein・Gutswein の4段階格付けへ変更した。ラインガウでは生産者が1984年にカルタ醸造所連盟を設立し、辛口をエアステス・ゲヴェクスと称して1999年にヘッセン州条例として施行、2019年にラインガウ・グローセス・ゲヴェクス(RGG)へ改称した。
主なスタイル
スパークリングのゼクトは欧州最大規模で年間約2億5000万〜2億7000万本を生産する。VDPは2020年に高品質ゼクトの格付け規約を発表し、VDP.SEKTは瓶内熟成15カ月以上、VDP.SEKT.PRESTIGEは36カ月以上を課す。ロゼには地域名があり、ヴュルテンベルクのシラーヴァイン、バーデンのバーディッシュ・ロートゴルト、ザクセンのシーラーが知られる。有機栽培は2023年に国内ブドウ畑の約15%へ達した。
主要ブドウ品種
- リースリング
- シュペートブルグンダー
- ミュラー・トゥルガウ
- ヴァイスブルグンダー
- グラウブルグンダー
- ジルヴァーナー
- ドルンフェルダー
産地(地方)(11)
- モーゼルクヴァリテーツヴァイン/プレディカーツヴァイン(g.U.)体系。冷涼な気候を反映しカビネットやシュペートレーゼの軽快な甘口・辛口が多く、貴腐のアウスレーゼ以上やアイスヴァインも産する。VDP格付けに加え、デア・リング・モーゼル1809が独自にグローセス・ゲヴェクスをリリース。
- ラインガウプレディカーツヴァイン体系に加え、ラインガウ独自の辛口格付けが発達。1999年にヘッセン州条例でエアステス・ゲヴェクスが施行され、2019年にはVDP格付けとの整合からグラン・クリュ辛口をラインガウ・グローセス・ゲヴェクス(RGG)へ改称した。VDPのグローセ・ラーゲ/エルステ・ラーゲも重要。
- ラインヘッセンクヴァリテーツヴァイン/プレディカーツヴァイン(g.U.)体系。VDP格付けに加え、マキシメ・ヘアクンフト・ラインヘッセンがグーツヴァイン・オルツヴァイン・ラーゲンヴァインの独自階層を採用する。
- ファルツクヴァリテーツヴァイン/プレディカーツヴァイン(g.U.)体系。温暖さを背景にトロッケンの辛口が主流。VDPのグローセス・ゲヴェクス(GG)や、ミッテルハールトの銘醸畑を中心としたVDPグローセ・ラーゲが重要。
- ナーエクヴァリテーツヴァイン/プレディカーツヴァイン(g.U.)体系。VDPのグローセ・ラーゲ/エルステ・ラーゲやグローセス・ゲヴェクスの辛口が高く評価される。
- バーデンクヴァリテーツヴァイン/プレディカーツヴァイン(g.U.)体系。ゾーンBのため補糖上限は2.0%volと他産地(3.0%vol)より低い。ブルグンダー系の辛口が中心で、VDPのグローセス・ゲヴェクスも重要。
- フランケンクヴァリテーツヴァイン/プレディカーツヴァイン(g.U.)体系。辛口主体でボックスボイテルが象徴。VDPのグローセス・ゲヴェクスも重要で、ベライヒは2025年時点で旧3区分から新12区分へ再編が進む。
- ヴュルテンベルククヴァリテーツヴァイン/プレディカーツヴァイン(g.U.)体系。赤・ロートリングのシラーヴァインなど地域色が強い。VDPのグローセス・ゲヴェクスも重要。
- アールクヴァリテーツヴァイン/プレディカーツヴァイン(g.U.)体系。冷涼地ながら良質な辛口シュペートブルグンダーで知られ、VDPのグローセス・ゲヴェクス(赤)も重要。
- ミッテルラインクヴァリテーツヴァイン/プレディカーツヴァイン(g.U.)体系。リースリング辛口が中心で、VDP格付け(グローセ・ラーゲ等)も用いられる。
- ザクセンクヴァリテーツヴァイン/プレディカーツヴァイン(g.U.)体系。ベライヒはエルスタータールとマイセン。辛口の白が中心で、エアステス・ゲヴェクスの潜在アルコール基準が他産地より緩い(10.5%以上)産地の一つ。
